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ラン科植物の菌根共生、絶滅危惧植物の保全

農学部 生物資源科学科

生物科学コース

辻田 有紀 准教授

Ogura-Tsujita Yuki

農学博士

研究分野

植物学、菌類学、系統分類学、保全生態学、園芸学

キーワード

菌根共生、ラン科、生物多様性保全、共生培養、系統分類

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農学部 生物資源科学科 生物科学コース

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研究概要

ランの研究で植物の進化・生態を解明し絶滅危惧種の保全に貢献 ランの不思議を解明
ラン科植物は約2万8千種とも言われ、陸上植物で最も多様化を遂げた植物群の一つです。根に共生する菌類との結びつきが強い植物ですが、これら菌根菌との共生関係も未だ謎が多く残っています。本研究室では、ラン科植物の研究で植物の進化や生態を解明するとともに、絶滅危惧種の保全研究も行っています。

■フィールド調査
温かい気候を好むラン科植物が多く生息する屋久島・西表島・沖縄本島に、年に2,3回のペースでフィールド調査に向かいます。採取したランやその根を、試験管内培養、DNA実験、顕微鏡観察などを通して研究しています。2020年のように現地に行けない時には、共同研究をしている現地の機関に採取をお願いし、送ってもらって研究を続けています。

■タカツルランの謎を解明
2018年には、光合成をせずに菌根菌からの栄養だけで成長するタカツルランの仕組みも解明できました。タカツルランは日本国内では鹿児島県・沖縄県にだけ自生する絶滅危惧IA類に指定されている世界最大の菌従属栄養植物です。根からは合計37種類の菌類を発見し、成分分析により両者が共生関係にあることの証明にも成功しました。

■DNA解析の技術開発
菌類はDNA情報を使って分析していますが、近年使われる次世代シークエンサーでは検出できないランの菌根菌が多くいることを発見しました。そこで、より正確に検出するために新たなプライマー組み合わせを活用したDNAバーコーディングの技術開発を行っているところです。この技術が構築されれば、菌のDNA解析に幅広く活用できます。

ランの仲間は日本にも300種類以上が生息していますが、その中で70%ほどが絶滅の危機に瀕しています。本研究室では全国各地の野生ランの保全活動も行いながら、ランの個体数を増やすのに欠かせない、ランの種子の発芽生態の解明、共生する菌類の研究、種子に害を及ぼすハエの研究などにも取り組んでいるところです。
現在は沖縄の研究機関と共同研究を行っていますが、今後は日本の北部や海外にもフィールドを広げ、共同研究を行うことで、より多くの共生関係を明らかにしていきたいと考えています。

MESSAGE

植物と菌類との菌根共生に関する基礎的知見を深めるとともに、得られた知見を絶滅危惧種の保全に役立てていきます。フィールド調査や試験管内培養、DNA実験や顕微鏡観察など幅広い研究活動を行っており、様々な技術を習得することができます。

■高校生向けオンライン講義動画(夢ナビ講義)
キノコを食べる植物!?ラン科植物と菌類の不思議な関係