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外国人労働法政策の研究

経済学部

法政策講座

早川 智津子 教授

Hayakawa Chizuko

博士(法学)

研究分野

労働法、入管法(移民法)、社会保障法

キーワード

外国人政策、外国人労働法政策、移民政策

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経済学部 法政策講座

研究概要

国際協力の必要性もふまえ 外国人労働者の法的保護のあり方を研究 入管法と労働法を総合的に分析・検討
少子高齢化が進む日本は人口減少社会の中にあり、労働力の面で、外国人労働者の受入れ政策が重要視されています。私は主に労働法学の視点から、日本の入管法政策や外国人労働者の法的保護のあり方を研究しています。

■入管法政策と労働法政策
これまでに、外国人労働者の受入れ制度について、アメリカ合衆国やイギリス、EUおよびその加盟国を対象とした比較法研究を行いつつ、日本の国内法による取組みを中心に研究を行ってきました。外国人労働政策の柱となるのは、主に入管法政策と労働法政策です。入管法は、いかなる外国人を受け入れるかという「選択」の理念の実現を担い、労働法は受け入れた外国人の「統合」をいかに図るかという理念を実現する役割を担っています。両政策は相互に影響を与えあっており、ときには衝突も起こりえます。そうした互いの政策に配慮した上で、調和のとれた施策を実行すべきであると考えており、昨今では入管法と労働法のハイブリッド型ともいえる技能実習法に基づく外国人技能実習制度や、2018年入管法改正により始まった特定技能制度(2019年スタート)の分析・検討も行っています。

■現状と今後の研究課題
入管法政策については、日本は一括して在留資格制度のもと外国人の入国や滞在を管理しており、十分に国内労働市場を踏まえた受入れの仕組みが存在しないのが現状です。労働法政策については、日本人と外国人の平等を図るため、原則として外国人にも日本の労働法令を適用し、平等な処遇が求められています。そのうえで、外国人保護のための指針が設けられていますが、現実をみると、外国人労働者の誰もが平等に処遇されているわけではありません。その点では、国内法の規制はもちろん、企業の労働CSR(労働における企業の社会的責任)施策についても研究が必要であると考えています。
さらに、2020年からの新型コロナウイルスの影響による失業者の問題も重要課題になっています。

外国人労働者の問題は、受け入れる日本単独の対応には限界があります。国際協力が必要であり、受入れ国・送出し国の二国間協定や、国連、ILO、EUなどの国際・地域間による国際協調ルールの確立が大切と考えています。人の国境を越えての移動に関する政策は国ごとに対応が異なるため、各国の研究者と共同研究しながら領域を広げていきたいと考えています。

MESSAGE

少子高齢化が進み将来の日本は人口減少社会のなかにあります。そのなかで、外国人労働者の受入れ政策が重要視されています。私は主に労働法学の視点から、日本の入管法政策や、外国人労働者の法的保護のあり方を研究してきました。これからの研究課題として、外国人労働者の法的保護についての研究の継続のほか、外国人住民の地域社会での共生や、国際労働移動の国際協調ルールの確立についても研究領域を広げていきたいと考えています。海外の研究者との共同研究を希望しています。